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柳原白蓮『指鬘外道』序 へのオマージュ_6

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size/ F6 318×410㎜
material/ 画仙紙、墨、金箔、温泉、胡粉
*七日一巡り 欅の間 展示作品

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<釈文>
たとえ
三十一字も綴るすべは存じませんでも
それが ほんの
生きている間かぎりに
果敢なく消えてしまうものでありませうとも
人間としての幸いの方が
望みなので御座いました
よしや これが
私の為めには 万人に慕はれるほどの仕合せと 
なりましょうとも
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のちに二度と来ないと歌った別府の地で
山を見、海を見、温泉に浸かってあの頃彼女は何を感じていたのか?



約100年前、彼女が見た景色を、私も今見ている。

彼女の三十一文字、6㎝×36㎝の短冊の世界は、
まるで火と水と大地のめぐりによって噴出する温泉のよう。
このような人が生き抜いた事実も含めすべてがこの世の恵みであり、
希望である。(人はいつの時代も表現者の勇気に救われてきた)

            *


大正9年発刊の戯曲『指鬘外道』の序文もまた、
白蓮34歳の頃にこの別府の地で書いた文章である。

燃え上がる炎のような創造性と、
それを自ら水に流して亡きものにしてしまおうという思いとを行き来しながら
日々の苦悩を美しく謳い上げた珠玉の文章だ。

その混沌に差す光は、
時間や空間を越えて幾重にも重なって層を成し、
確かな手触りとなって、今、私の目の前に現れる。

            *

本作では、その質感とエネルギーの総体として、別府温泉のスケール(温泉成分が固形化し堆積物となったもの)を用いて表現した。白いスケールは青い湯が美しい別府市小倉にある“別府 おぐら”衛藤直子様にご協力、ご提供いただいた。

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